民事信託は、遺言・成年後見にできないことも可能にする新しい財産管理
信託法が平成18年12月に改正され、平成19年9月に施行されました。
この改正について、民事信託の第一人者・島田雄左氏は最近の著作『家族信託の教科書』第2版P61で以下のように述べています。
「この改正は相続や財産管理のありかたを大きく変える、まさにイノベーションともいえる出来事でした。皆さんの想いを遺す方法として最もポピュラーな「遺言」、判断能力が落ちた方の財産を管理する「成年後見制度」などと比べて、より自由度が高く、柔軟な承継スキームの組み立てが可能となったからです。つまり、それまでの法律では実現できなかった皆さんの想いを、信託を活用することで実現できるようになったのです。」
山野行政書士事務所は、相続・遺言・成年後見を主な業務としてきました。その経験をベースに、民事信託についても相談者に寄り添い、納得していただけるスキームを提案させていただきたいと思います。
民事信託の法律的な仕組み
「管理権」と「受益権」で構成される「所有権」のうち、
管理権だけを信頼できる家族に移し、受益権はそのまま所有者に残す
➡ 受益である家賃や売却代金はそのままの所有者が得る形になります。
財産管理を信託銀行でなく、
信頼できる人(家族等)に託すのが民事信託の特徴!!
成年後見、遺言との違いを例に~
〇認知症対策信託
設例:
不動産を所有する父がアパート建設や不動産の組替えをして相続税対策を考えています。
しかし、アパート建設や不動産の組替えには、ある程度の期間がかかり、その間に認知症になってしまい、判断能力がなくなるとアパートの建設や不動産の売買はできません。成年後見人(法定後見人)をつけても、相続税対策のためのアパート建設や不動産の売買はできません。
成年後見制度がご本人の最善の利益を目的に、財産を管理する制度ですので相続税対策、資産活用はなじまないからです。
➡ このような場合に認知症対策信託が活用できます。
民事信託には身上監護機能がない!
➡ 民事信託で財産管理、成年後見で身上監護の組み合わせも可能
「身上監護」とは介護サービス契約・施設入所契約など、身の回りの契約等
承継者指定信託
父が、子どものいない長男に財産を相続させて、最終的に長女の子(孫)に財産を承継させたいと思っても、通常の遺言書では自分の次の人しか指定できません。長男に財産を相続させる旨の遺言書を作り、長男が財産を相続した場合、その後、長男が亡くなると、財産のほとんどは長男の妻が相続
その後、長男の妻が亡くなると、長男夫婦には子どもがいないので、
財産は長男の妻側の親族に流出します。
こんな時に民事信託を組んでおくと・・・
➡ 何代にも渡って財産の承継者を指定したい場合に活用できる。