相続が生じたとき
相続を「争族」にしないために、残されたご家族が困らないように。

40年ぶりといわれる相続法制の大改正が、2018年7月6日の参議院本会議で可決・成立しました。故人の配偶者が亡くなるまでの間、自宅に住み続けることができる「配偶者居住権」、婚姻期間が長期間の場合に配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居(土地・建物)は原則として遺産分割の計算対象とみなさないようにする規定の新設など、超高齢化を受け、配偶者の老後の経済的安定につなげる狙いがあるとされています。
この配偶者居住権とは、住宅の権利を「所有権」と「居住権」に分割。配偶者は居住権を取得すれば、自宅に住む続けることができる。居住権の金額は、配偶者の年齢の平均寿命などから算出され高齢なほど安くなる。年齢と関係なく設定することもできるとされています。
その他、相続人以外でも介護に尽くした親族は、遺産の相続人に対して金銭を請求できる制度が新設。相続トラブルを避けるために生前に書く「自筆証書遺言」も法務局に預けられる制度も新設されています。
この配偶者居住権により、遺産分割のイメージは下図のように変わります。

相続制度見直しで想定される事例(図)

配偶者居住権のイメージ

(朝日新聞2018年1月17日号からの転載)

山野行政書士事務所は今回の改正に留意しながら、相談者の思いに寄り添い、
残されたご家族が困らないように、

  1. (1)相続人をしっかり調査・確認
  2. (2)残された資産と負債の両面から相続財産調査を踏まえて、財産目録の作成
  3. (1)(2)の情報を踏まえ遺産分割協議書の作成

これらの手続きをトータルに支援させていただきます。

≪相続に関する法律と用語≫

相続にあたっては、民法に出てくる次の用語理解が必要です。
□相続人(民法886条~)
・法定相続人(887条1項、890条)
・代襲相続(887条2項、3項)
・相続欠格(891条)
・相続排除(892条~)
□相続分
・相続分(900条~)
・特別受益(903条~)
・寄与分(904条の2)
□相続の承認・放棄
・単純承認(920条~)
・限定承認(922条~)
・相続放棄(938条~)
□相続人の不存在
・相続財産管理人(952条~)
・特別縁故者(958条の3)
□遺産分割
・遺産分割の時期(907条)
・分割禁止(908条、907条3項、256条)
・対象
・評価
・方法
・無効・取消・解除
※以上の用語の中で、特に期限のある手続きは要注意。

たとえば、相続承認・放棄は「相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」です(915条)。

~遺産分割協議書とは~

相続人が複数いる共同相続の場合、各相続人の相続分は割合で定まります。
割合となると、建物や自動車はどうなるの?
建物などの場合は、その相続財産を単独所有にするなど、共同相続人の協議が必要です。
誰が、何を、どれだけ相続するかについて合意・納得し、その内容を記載して書類に署名・捺印し、協議書を作ります。 その協議が遺産分割協議です。
◆この協議には相続人全員の参加が必要
だれか一人でも欠ければ協議は無効です。
◆協議がまとまらない場合
感情的な対立から、勘定的な対立につながり、長期化・泥沼化すれば、とても個人では解決できないトラブルになります。また切実な問題として、高齢化で、なくなる本人のみならず、残された相続人自身も高齢化で判断能力が低下し、遺産分割協議を実質的に困難にしています。このような場合には成年後見制度の利用を考えるのもいいでしょう。

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判に移ることになります。

改正法施行後は、この遺産分割協議も配偶者居住権(改正法1028条~)で変わることになります。